コンクリートの論点解説|強度・水セメント比・かぶり・中性化・劣化・養生
あと施工アンカーの母材=コンクリートの理解は、特に技術管理士・第1種の試験で重く問われます。材料と配合、強度、フレッシュ性状、耐久性(劣化現象)、品質管理の5領域で出題される論点を整理し、引っかけパターンを併記します。
コンクリートと鉄筋の役割分担
コンクリートは圧縮に強いが引張に弱く、ひび割れやすい材料です。引張側を鉄筋が補うことで、鉄筋コンクリートとして成立します。一体で使えるのは、両者の熱膨張率がほぼ等しいことも一因です。
- 圧縮強度に対し、引張強度はおよそ1/10。
- 強度の大小:圧縮 > 曲げ > 引張。
- 圧縮強度が高いほど、ヤング係数も大きくなる。
材料と配合(W/C・骨材・混和材料)
セメント・水・骨材
- セメントの主原料は石灰石と粘土(鉄鉱石ではありません)。
- セメントは水との水和反応で硬化します。「水を加えても化学反応せず、乾燥で固まる」は誤り。
- 骨材はコンクリート体積の約7割を占めます。
- ポルトランドセメントには普通・早強・中庸熱など用途別の種類があります。
- モルタルは細骨材のみ(粗骨材は含まない)。粗骨材を含むのはコンクリート。
★最重要:水セメント比 W/C
W/C = 水の質量 ÷ セメントの質量 (骨材は関係しない)
水セメント比は出題の最頻論点です。次の関係をセットで覚えてください。
- W/C が小さい → 圧縮強度が高い/組織が緻密で耐久性が高い。
- W/C が大きい(水を多くする) → 強度が低下。
- 同じ強度なら W/C は小さいほうが耐久性に有利。
引っかけの王道:「W/C が大きいほど強度が高い」「W/C は骨材に対する水の割合」はいずれも誤りです。「水を増やすほど高強度」も誤り。出たら一発で見抜けます。
骨材の形状
丸みのある川砂利を粗骨材に使うと、砕石より流動性が良くなります。同程度の流動性なら少ない水で得られる=単位水量を抑えられるため、強度・耐久性で有利になります。
混和材料
- AE剤:微細な空気(エントレインドエア)を連行し、凍結融解抵抗性を高めます。凍害対策の核です。
- 減水剤・AE剤:材料費を下げる目的ではなく、品質・施工性・耐久性を改善する目的で使います。
フレッシュ性状(ワーカビリティとスランプ)
- フレッシュコンクリート=練り上がり直後、まだ固まっていない状態。
- ワーカビリティ=運搬・打込み・締固めのしやすさの程度。
- スランプはコンシステンシー(軟らかさ)の指標。値が大きいほど軟らかい。
- スランプはワーカビリティを確保した上でなるべく小さく。過大スランプは材料分離や乾燥収縮ひび割れの要因になります。
- 軟らかいほどブリーディング(表面に水が浮く現象)が大きくなります。
★耐久性:4つの劣化現象
1. 中性化
- 健全なコンクリートはpH12〜13の強アルカリ性で、鉄筋表面に不動態被膜を形成し防錆します。
- 大気中の二酸化炭素等でアルカリ性が低下(中性化)すると、鉄筋が腐食しやすくなります。
- 中性化深さは経過年数の平方根に比例して進行(√t則)。
- 判定法:フェノールフタレイン溶液を吹き付けて、健全部(アルカリ性)は赤紫色に呈色、中性化部は変色しません。
- 乾いた室内の方が、湿った環境より中性化が進みやすい。
- 軽量コンクリートは空隙が多く、中性化が進みやすい。
2. 塩害
- 塩化物イオンが鉄筋を腐食させ、さびの膨張でコンクリートにひび割れが生じます。
- 対策:かぶり厚さを大きくとる、塩化物総量を規制値以下に抑える、海砂は除塩する。
3. 凍害
- コンクリート中の水分が凍結・膨張する圧力でひび割れ等が生じます。
- 対策:AE剤で適切な空気量を確保(連行空気で耐凍害性向上)。
4. アルカリ骨材反応(ASR)
- 骨材中の反応性成分と、セメント中のアルカリが反応し、コンクリートが膨張する現象。
- 対策:低アルカリ形セメントで総アルカリ量を抑える。
かぶり厚さの定義(典型引っかけ)
かぶり厚さはコンクリート表面から鉄筋の表面までの距離です。鉄筋の中心までではありません。かぶりが小さいほど鉄筋は腐食しやすくなります。
品質管理(強度試験・調合強度)
強度試験の方法
- 圧縮強度試験は円柱供試体で行います。供試体の細長比(h/d)が大きいほど測定強度は小さく出ます。載荷面が滑らかなほど高い値が得られる傾向。
- コア法(コア採取して圧縮試験)は反発度法より精度が高い。
- 反発度法で測るときは、塗装やモルタル等の仕上げ材を除去してから測定します。
- 電磁波レーダ法は鉄筋探査・かぶり測定用で、圧縮強度は直接測れません。
- 豆板(ジャンカ)は粗骨材が分離してできた空隙部。目視や打音で確認します(反発度法は豆板確認用ではない)。
強度の基準値(用語の階層)
- 設計基準強度:構造設計で前提とする強度。
- 耐久設計基準強度:建物の計画供用期間(短期・標準・長期等)に応じて定める強度。長期級ほど高強度が要求されます。
- 調合管理強度:ばらつきや強度補正を見込んで設計基準強度より大きく設定します。
- 高強度コンクリート:36 N/mm² を超えるもの(30 N/mm²は高強度に該当しない)。
レディーミクストコンクリートの強度判定
1回の試験で呼び強度の85%以上、かつ3回の平均で呼び強度以上であればよい、と判定されます。「全試験回が下回り禁止」は誤り。
運搬時間
トラックアジテータで運ぶコンクリートは、練混ぜ開始から荷卸しまで原則90分以内です(2時間ではない点に注意)。
養生・力学的性質
- 圧縮強度は材齢が進むにつれて増進します(水和の進行)。乾燥状態に置くと水和が止まり、強度の伸びは頭打ちになります。湿潤養生が必須。
- 持続荷重で時間とともに増えるひずみをクリープひずみといいます。載荷直後の弾性ひずみは含めません。
- 骨材が収縮を拘束するため、コンクリートの乾燥収縮はモルタルより小さい。
- コンクリートは酸性の薬品に弱い(アルカリ性のため)。
- コンクリートのほうが鋼材より火熱に強い(耐火性に優れる)。
ひび割れと既存コンクリートの調査
- ひび割れの大きさは一般に幅で評価。建物機能への影響は発生位置・幅・深さで変わります。
- ひび割れ幅が小さくても、浸入経路となるため補修が必要な場合があります。「小さければ補修不要」は誤り。
- 既存コンクリートの品質調査は工事監理者・元請側の管理項目です(施工責任者の業務ではありません)。
アンカー耐力との関係
あと施工アンカーの耐力は、固着先となる母材コンクリートの強度に大きく左右されます。設計力学のコーン状破壊で決まる耐力は √σθ × Ac(σθ=圧縮強度、Ac=有効水平投影面積)に比例するため、母材の強度・健全性の確認は設計時の前提条件です。詳しくは設計力学の論点解説を参照してください。
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よくある質問
- Q. 水セメント比W/Cで一番覚えるべきことは?
- A. 「W/Cが小さいほど高強度・高耐久」。これだけ覚えれば派生問題は全部解けます。「水を増やすほど高強度」「W/Cは骨材に対する水の割合」は誤りです。
- Q. かぶり厚さの定義は?
- A. コンクリート表面から鉄筋の表面までの距離です。中心までではありません。試験で「中心まで」と書かれていたら誤り。
- Q. 中性化と塩害の違いは?
- A. 中性化はpH低下による防錆機能の喪失(√t則で進行)、塩害は塩化物イオンが鉄筋を腐食させる現象です。どちらも結果として鉄筋腐食を招きますが原因が違います。
- Q. 高強度コンクリートの基準は?
- A. 36 N/mm²を超えるもの。30 N/mm² は高強度に該当しません。
- Q. レディーミクストの強度はどう判定?
- A. 1回の試験で呼び強度の85%以上、かつ3回の平均で呼び強度以上です。
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本ページは独立した学習サービス「アンカー受験ラボ」が作成したもので、特定の試験実施団体・協会とは関係のない独立した解説です。基準値・規格は改定される場合があります。受験前に最新の公式情報・基準書をご確認ください。内容は学習用に独自整理したもので、誤りや古い情報を含む可能性があります。